
箱を開けると、まず赤が立ち上がる。
西陣織はもともと帯地として発達したものだが、
この小さな円の中では、織りの密度がよりはっきりと現れる。
帯のように身体に沿うのではなく、
直径七センチの平面に切り取られる。
そのことで、図案の配置や金糸の入り方が、ひとつの画面として意識される。
金糸は光を強く返すのではなく、
少し沈む。
織りの凹凸がそれを受け止めている。
赤は華やかだが、織物特有の奥行きがあるため、
単なる色面にはならない。
円形という制限の中で、
紅葉は広がりすぎず、余白を残して収まる。
帯であれば流れていく図案が、ここでは凝縮される。
織物は本来、面でありながら身体性を持つ。
それが金属の蓋の上に置かれると、
純粋な“装飾面”になる。
その変化が、この作品の面白さだと思う。
小さいからこそ、
織りの整い方がはっきりと見える。
華やかさの中にある、秩序。
長く見ていると、
赤よりも、その整い方のほうが印象に残る。

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