昭和の少女雑誌「ジュニアそれいゆ」表紙イラスト

昭和に生まれ、平成を経て、令和の今を過ごすなかで、ふと手に取る昭和の焼き物や工芸品には、ただ古いというだけではなく、暮らしの温度や時間の匂いが今も宿っているように感じます。

家族の食卓に並び、贈り物として手渡され、日常に溶け込みながらも、どこか「少し特別な気配」をまとっていた――その姿は今も心に残っています。

百貨店の棚に並んでいた有田焼や九谷焼は、当時の人々にとって「日常に触れる贅沢」でした。

重厚で、誇らしく、少し背伸びをして手に入れる喜び。

振り返れば、それは当たり前の日常に漂う特別感だったのかもしれません。

やがて高度経済成長の波が暮らしを変え、技術や伝統は新しい価値観に押し流されていきました。

工芸が完全に消え去ったわけではありませんが、その位置づけや感じられ方は変わり、今では「文化的な価値」や「趣味的な嗜好」として受け止められることが多いように思えます。

それでも昭和の品にふれるとき、懐かしさを超えて、その時代の暮らしや空気までも映し出してくれるように思います。

その感覚は、きっと多くの人の中にある「生活の記憶」と静かに重なり合い、思いがけない瞬間に息づいていくのかもしれません。